モルモットは「初心者向けペット」ではありません

aug24th

動物園などで、小さなお子さんをお持ちのご家族に大人気の「ふれあいコーナー」。そこでウサギとともに人気があるのがモルモットです。お膝に抱っこされるかわいい姿にキュンとして、モルモットの魅力に目覚めた方も多いのではないでしょうか。ふれあいコーナーの帰り道、「モルモット飼おうよー」とせがまれるお子さんの姿をよく目にします。

 

また、「実験動物」の代名詞としても使われるなど、「おとなしい生き物」としての印象が強いためか、また体が小さいためか、「犬猫よりも簡単に飼えるのではないか」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。「子どもに、命に対する責任感を教えたい」とのご要望で、保護モルモットの譲渡に関するお問い合わせをいただくこともあります。

「モルモットハウスくにたち」では、未成年の方に対する譲渡は一切行っておりません。

お子様のいらっしゃるご家庭にお迎えいただく際は、必ず保護者の方に責任者となっていただき、お子様にはあくまで「できる範囲でのお手伝い」をお願いしていただくという形式を取っております。

以下に、その理由を説明させていただきます。

【モルモットの飼育にはお金と手間がかかります】
犬猫に比べれば、まだまだペットとして認知度の低いモルモット。毎日食べさせる必要のある牧草・ペレットなどは、お住まいの場所によっては入手が困難であり、東京や大阪などの大都市圏であっても、楽天やAmazonなどの通販で購入するしかないこともあります。

犬猫と違い、「ちょっとスーパーに行って買ってくる」 ことはできないので、常に餌がどのくらい残っているかを確認しながら、計画的に手配する必要があります。飼っている人がまだまだ少ないので、餌も安売りにはなかなかなりません。

気温の変化で体調を崩すこともあるので、空調は通年でつけっぱなしになります。電気代もかかります。

また、草食動物であるモルモットは、体調不良や病気を徹底的に隠す傾向があります。このため、「きちんと排泄ができているか」「便や尿に異常がないか」「フードはちゃんと食べているか」などは、大人の目で毎日欠かさず注意深く観察する必要があります。

モルモットはデリケートな生き物です。掃除や給餌などのお世話に加え、室温管理なども徹底する必要があります。不潔な環境に長く放置されたり、餌のアンバランスがあれば、すぐに病気になってしまいます。

加えて、モルモットは「エキゾチックアニマル」に該当するため、診察してもらえる獣医さんは非常に限られています。持病があれば、定期的な通院が必要になることもあります。

我が家の先住モルモットも持病のため、獣医さん関連の費用だけで一カ月に15000円前後の費用がかかっています。去年虹の橋を渡ってしまったモルモットのターミナルケアと看取りには、有給3日分を消化したほか、5万円前後の費用がかかりました。

たとえ注意深い聡明なお子さんであったとしても、小学校・中高に通っていれば、学校を休んで病院に連れていくことも、場合によっては非常に高額になる費用を自分で出すことも難しいでしょう。

このような理由から、給餌と給水・餌の手配・健康管理は、全面的に保護者の方の責任において行っていただく必要があります。

大人でも「仕事が多忙で、きちんとお世話ができない」という理由で手放す人が多い中、未成年のお子様に徹底した細やかなお世話をお任せすることは、不可能でないとしても非常に無責任であると考えております。

【モルモットはけっこう長生きです】
モルモットは平均して5-7年、長命な個体は10年以上生きることもあります。そして人間や他の動物と同様、高齢になれば投薬や介護が必要になります。

例えば、お子様が10歳の時点で飼育を開始されたとして、モルモットが8年生きるとすると、モルモットが老齢に達する5歳の時点で高校受験、何らかの介護が必要になる最老齢期には大学受験や就職活動が発生します。

お子様が6歳のときにお迎えされれば、中学受験準備や習い事が忙しくなる11歳の時点で老齢に入り、13歳のときに最高齢になります。

この期間に家族旅行に行かれることもあるでしょうし、部活や修学旅行などに参加されることもあるでしょう (モルモットは移動で体調を崩すことも多いので、旅行に連れていかれるのはお控えください)。そうでなくても何かとお金の必要になる時期に、餌代や獣医さんの費用などが突発的に発生しても大丈夫か、余裕があるか、必ず考えていただく必要があります。

また、未成年のお子様をお持ちの保護者の方には、働き盛り真っただ中の方もが多いことと思います。保護者の方がただでさえ忙しい中、モルモットの通院や介護などでお休みを取ることがどれほど現実的か、転勤などが発生した場合は飼育を継続できるか、お子様とだけではなく、家族全体で一度よく話し合われることをお勧めします。

【モルモットは「犬猫の替わり」にはなりません】
「犬や猫は飼えないけど、モルモットならいいと言われた」という里親希望のお子様にお会いすることがあります。

保護者の方によくよくお伺いすると、「犬猫は高いでしょ?」「体が小さいからお世話が楽だと思って」などの理由が背景にあることが多いようです。

モルモットは、犬猫の代わりにはなりません。

お世話が楽でないこと、必ずしも費用が安いとはいえないことは、前段で説明させていただいた通りです。それに加え、モルモットは犬のように一緒にお散歩に行くことや芸を覚えさせることも、猫のように一緒に寝ることもできません。

そもそも、「自然界では捕食される立場の草食動物」であるモルモットと、「自然界では餌を取る立場の肉食/雑食動物」である犬猫では、必要なお世話も幸せの感じ方も全く違います。

犬猫が飼いたいと言われたら、「大変そうだからモルモットはどう?」と言う前に、まずは、どうして犬や猫を飼いたいのか、お子様に聞いてさしあげてください。

一緒にお外で遊びたい、散歩に連れていきたい、どこにでも一緒に出かけたいなら、モルモットは不適切です。
長い時間お膝にのせてテレビを見たりしたいなら、モルモットは不適切です。

お子様が犬猫の飼育をご希望なのであれば、どうぞ保護犬・保護猫を迎えることを検討されてください。新しいお家を探している子が全国にたくさんいます。

最近はネコリパブリックさんのように、保護猫カフェもできてきましたので、そこにご家族で遊びに行かれるのもよいかもしれません。

ご自宅で犬猫飼育が不可だからという理由であれば、モルモットもおそらく不可ですので、そもそも譲渡自体が不可能である場合もあります (排泄などでゴミが大量に出るので、「こっそり飼う」こともできません)。

モルモットの性質と、お子様の「ペットを迎えたらこんなことがしたい」がマッチしなければ、お子様もモルモットも、そして保護者の方も不幸になるだけです。

【モルモットアレルギーも存在します】
犬猫アレルギーと違いあまり知られていませんが、モルモットにもアレルギーがあります。Critter Line 様の調査によると、モルモットを手放す理由の一位はアレルギーの発症によるものです。

大人であれば、命にかかわるほど重篤なものでない限り、投薬や掃除の徹底などである程度コントロールすることも可能でしょうが (ちなみにマネージャーもアレルギー持ちですが、掃除の際のマスクの着用や空気清浄機のフル稼働、適切な投薬で抑制できております)、お子様の場合は相当の困難が予想されます。

「うちは誰もアレルギーになったことないから大丈夫!」 とおっしゃる方もいらっしゃいますが、ご両親がアレルギーでなくても、お子様が発症することもあります(マネージャーが生き証人です。両親とも花粉症さえ発症していないにもかかわらず、生まれた時からアレルギー体質です)。

お子様、および保護者の方がアレルギーになってしまった場合はどうするか、お迎え前から対策を考えておかれることを強くお勧めいたします。

モルモットは「責任感を教える道具」ではありません】
「モルモットをお世話させて、うちの子に責任感を教えたい」「あえてきちんと世話をしないと弱ってしまう生き物を飼うことで、命の大切さを教えたい」というご希望を頂戴することもあります。

このような理由を挙げられる方には、大変申し訳ないのですが、譲渡はお断りしております。

理由はきわめてシンプルです。
モルモットは、お子様に責任感や命の大切さを教えるために生きているのではないからです。

環境の変化で体調を崩しやすく、ちょっとした衝撃で骨折や、命にかかわる怪我をする可能性もあるモルモットは、「命のレッスン」には全く向いていません。

たった一度の判断ミス、たった一度の「まあいいか」が、モルモットにとっては命の終わりになってしまうこともあります。

「モルモットハウスくにたち」で保護するモルモットたちは、飼い主や他の都合 (やむを得ない事情であっても、身勝手な理由であっても、やはり全面的に人間の都合です) で住む家を失ったり、不適切な環境で飼育されているところを保護されたりと、人間の事情に振り回され、新しいおうちを探している子たちです。

そして、私たちボランティアの使命は、そのようなモルモットたちに、落ち着ける新しいおうちを探してあげることです。

その新しいおうちで、どのような高尚な理由があろうとも、きちんとしたお世話が受けられない、場合によっては「親が手を出すと子どもが学ばないから」という理由でネグレクト (飼育放棄) 状態に置かれて病気になったり、命を失ったりする、などの事態に置かれてしまうことは、絶対に避けたいと考えております。

お子様に命の大切さを教えたいとお考えの保護者の皆さま。
その思いは、「弱い動物の飼育責任をお子様に持たせる」ことではなく、是非ご自身の態度で示してあげてください。

それは、ご自身で率先してモルモットたちのお世話をされ、モルモットたちが命を全するまで心を込めてお世話をされることかもしれませんし、保護犬・保護猫のシェルターでお子様と一緒にボランティアをされたり、募金をされたり、チャリティーパーティーを企画したりすることかもしれません。本やテレビを見て一緒に話をされることかもしれません。

人間にとっては、「飼いやすそう」で「どれも同じに見える」のかもしれないモルモット。しかし、そのモルモットにとっては一度限りの、たったひとつの命です。懸命に生きようとしている命です。

そのかけがえのない命を、どんなに素晴らしいレッスンをお子様に与えるためであろうとも、メッセージを伝えるための単なる道具として使い、健康や命を犠牲にすることは、どうぞご再考ください。

長文となりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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