その「一目惚れ」、続きますか? 飼育開始から5年先、10年先を考える: (1) 健康はいつまでも続かない・複数飼育編

reece_top「モルモットハウスくにたち」は、様々な事情で住む家・飼い主さんをなくしてしまったモルモットたちを保護し、新しい飼い主さんを探す活動をしているボランティア集団です。

これまでに数多くのご希望・お問合せをいただき、数多くの保護モルモットたちが新しいおうちへとお迎えされました。これも皆様のご声援のおかげと、ボランティア一同、心より感謝しております。

しかしながら、お迎え前のお電話での相談の段階でお話をさせていただいた結果、ご自分で「一目惚れして焦ってご連絡してしまったのですが、少なくとも今は無理だとわかりました」との結論に達される方も多くいらっしゃいます。

特に、モルモットやウサギなどの草食動物を既に飼育されている動物好きな方は、「かわいそうな子に我が家を提供したい」と挙手してくださることが多く、大変ありがたく感じる一方で、

「これから頭数の増えた状態で、例えばどちらかが介護の必要な状態になったり、病気をして定期的に通院が必要な状態になっても、問題なくお世話を継続できますか?」

とお尋ねすると、やはり「考えていませんでした」とのお返事が来ることが多々あるのも事実です。

「お迎えしたい」「保護モルモットに幸せな生活をさせてあげたい」というご厚意をお断りするのは、ボランティアにとっても大変残念なことです。

しかし、「かわいい」「かわいそう」 というお気持ちだけが先走ってお迎えされ、後になって 「やっぱり無理だった」 と飼養放棄 されてしまったりなど、よく考えずにお迎えされてしまえば、飼い主さんにもモルモットにも不幸な結果になってしまうことがあるのも事実です。

飼い主さんももちろん残念に思われ、傷つく結果になってしまいますし、モルモットにとっては住み慣れたおうちを追われる、あるいは一度しかない人生(モル生)を、唯一頼れる存在である飼い主さんから「厄介者」「邪魔者」扱いされながら送るという、もっと悲しい結果になってしまいます。

今回は、「一目惚れ!」と夢中になってモルモットの飼育を開始する、もしくは里親さんに応募する前に考えておきたいことを、特に「先住モルモット/動物がいる」方を対象に、ボランティアとしての経験から書いてみたいと思います。

rukiriki_01考えたいこと 1: 動物も病気になる。今元気でも、介護や闘病が必要になることもある。

【考えたいことリスト】
・先住動物/モルモットのお世話に、新しい子のお世話が加わっても問題なくお世話を続けられるか? 先住動物のお世話を今と同じくらいしっかり続けられるか?

・どちらかの動物が病気になったり介護が必要になっても、他の動物のお世話に重大な悪影響が出ないほど、金銭的・時間的・精神的余裕があるか?

・どちらかを先に見送った時に、「この子さえいなければもっとお世話できた」と、残された動物に負の感情を抱いたりしないか?

「里親さんになって、幸せな家庭生活を経験させてあげたい」と、モルモットを既に飼育されていらっしゃる方、あるいはウサギやデグーなどの草食動物を飼っていらっしゃる方からのお問合せを多く頂戴いたします。

もちろん、きちんとお世話の計画をお考えいただいてお申込みくださる方が大半ですし、多くのモルモットたちが先住動物のいる家にお迎えされ、幸せに暮らしています。

しかし、「新しい子のお迎え後に先住ちゃんが介護になったり、頻繁な通院が必要になったりしても、お世話は大丈夫ですか?」とお伺いすると、上にも書いたように「それは考えていませんでした」とのお返事をいただくことも、少なからずございます。

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モルモットの寿命は5年から7年と言われていますが、もっと早くに病気になる子もいれば、10年近く生きる個体もいます。年齢が上がってくれば、人間と同じで、体に何らかの障害が出てくる場合も多いです。

daisy_01介護や闘病は何も高齢のモルモットに限った話ではなく、不正咬合や膀胱障害、(女の子であれば)子宮系の病気などは、早ければ1歳前後から発病することも珍しくありません。

長期間の投薬・闘病・通院が必要になる場合もあります。場合によっては、飼い主さんが学校や会社を休んで通院したりすることも必要になるかもしれません。

また、きちんと診察してもらえる病院は多くはないため、長い時間をかけての通院や、遠くまで出かけての検査が必要になることもあります。

そして、先住動物さんが闘病中であっても介護中であっても、新しい子のお世話は必要です。

先住ちゃんの看病がどんなに大変でもケージの掃除はしないといけませんし、水ボトルにはきれいな水を補充しなくてはいけません。

ペレットや牧草だって食べさせてあげる必要がありますし、爪だって切ってあげる必要があります(切れない場合は獣医さんで切ってもらえますが、獣医さんに行く時間と手間がありますよね)。長毛の子ならこまめなブラッシングも必要です。

「XXちゃんが病気だから、ご飯は我慢してね、ケージは1週間掃除できないけど我慢してね」なんて人間の都合は、モルモットには通用しません。

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ただし、「介護の必要な子以外にも、お世話を必要とする子がいる」ことは、プラスに作用することがあるようです。

Y_03どうしてもいっぱいいっぱいになりがちな介護・闘病生活も、他の子のお世話をすることで、介護される動物も飼い主も、お互いに少し距離を取ることができるのは、却ってよい結果になることもあります (先住を亡くしたときのマネージャーと代表がそうでした)。

また、先住動物がお空に帰っていってしまっても、「残された子たちのために頑張らないと」という発想ができれば、それが立ち直り・前に進む糸口になることもあります。

ただし、これは先住動物と後からお迎えした子に、同じくらいの愛情を注ぐことができていた場合に限ります。

「この子がいなければもっと先住ちゃんのお世話がしっかりできた」と、後からお迎えした子に恨みの感情を抱いたり、お世話をしっかりしていない間に愛情が薄れてしまっていれば、その後の生活はお互いにとって苦痛でしかないでしょう。

同じ理由で、「やがて来るペットロスを軽減したい」と、介護の途中に新しい子をお迎えするのもお勧めできません。新しい子がおうちに慣れるまでには細心の注意が必要ですが、精神的にも肉体的にも疲れ果てる介護・闘病の期間に、そのような細やかな注意を別の動物に払うのは非常に難しいのが現実です。

新しい子に夢中になればなったで、病気・高齢の子の介護がおろそかにならないとも限りませんし、先住モルモットが「自分はもう必要ないんだ」と感じることもあるのではないでしょうか・・・

ただし、本来が群れ生物であるモルモットは、仲間がいることで安心したり、精神的に安定したりすることもあるそうなので、新しい子のお迎えがプラスに作用する場合もあります。

特に一緒に暮らしていた仲間を亡くして落ち込んでいる子の場合、元気な「お友達」を迎えることで元気が出たり、生きる意欲が戻ったり、ということもありるようです。

もちろんモルモット同士の相性もありますので、トライアル期間等のある里親さん等の制度を利用して、しっかりと相性の見極め、「お見合い」ができることが理想ですし、万が一仲良くできなくても別々のケージ・部屋んぽも別と、接触を避けて飼育することができれば問題ないのではないでしょうか。

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wu_long_happyそして、病気・高齢の個体のお世話にかまけている間に、元気だった子が弱っていかない・病気にならない保証はどこにもありません。

一緒に暮らしている動物たちが「元気」で「お世話が問題なくできる」状態は、いつまでも続くとは限りません。場合によっては、飼育している動物すべてが病気になる場合だってあります。

「最悪の事態をすべて想定して、それでも大丈夫だという具体的な証拠を出してください」とは言いません(シミュレーションはしていただきたいですが)。

しかし、病気の治療・介護にはお金も時間も必要だということ、「どの動物も元気で健康なまま過ごしてくれる」状態が少しの期間でも崩れれば、「他の子のお世話を大幅にグレードダウンする」「飼育を放棄する」しかない状態なのであれば、新しい子のお迎えは非現実的であり、先住動物にも新しい動物にも犠牲を強いる状態になりかねないということは、是非考えていただきたいと思います。

 

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