その「一目惚れ」、続きますか? 飼育開始から5年先、10年先を考える: (2) 飼い主さんの人生設計・就活/就職編

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workdesk前回の記事では、「一目惚れした!」 あるいは 「悪い環境にいてかわいそう!」 と安易に動物の飼育を開始してしまう前に考えておきたい問題として、「動物が高齢化して/病気になって、長時間の介護・通院が必要になった場合」を取り上げました。

しかし、考えておかなくてはいけないのは、動物の加齢・体調の変化だけではありません。お世話をする側である飼い主さんご自身の状況の変化についても、考えておく必要があります。

今回の記事では、「モルモットハウスくにたち」ボランティアにご連絡をくださった方とお話させていただいた経験の中で、飼い主さんつまり「お世話する側」 の事情の変化について考えたことを、主に「就職活動」と「就職」に焦点を当てながら書いてみたいと思います。

【考えておきたいこと: まとめ】
・就活や卒業試験などで多忙な時期に、モルモットのような「様子見のできない」生き物を飼育することは現実的か? 万が一の場合、動物病院への通院を頼める人はいるか?
・新社会人時代は非常に忙しくなり、自分の思い通り時間を使えないことも多い。その間ずっとお世話を継続できるか?
・「研修のため遠隔地に配属」「社員寮への入居」などの理由で、モルモットの飼育継続が不可能になる可能性はないか? 万が一そのような事態が起きた場合はどうするか?

→就活時代・新社会人時代は「動物と暮らすための準備期間」と考え、飼育本を読んだりシェルターボランティアをしたりして、動物との楽しい暮らしに備えてみては?

【考えておきたいこと: 本文】
sort(モルモットの平均寿命である) 5-7年が経過すれば、飼い主さんのライフステージも恐らく変化する。現在と環境が大きく変わることもありえる。

それでも問題なくお世話を継続できるか?

以前アップした記事では、小中学生のお子様がいらっしゃるご家庭でモルモットをお迎えになる場合、部活や習い事・受験や就活などで忙しくなる時期と、モルモットの闘病・看取りを想定しておくべき時期が重なってしまう可能性があることについて触れました。

しかし、これはお子様のいらっしゃるご家庭に限った話では決してありません。病気や転居、就職/転職、結婚/離婚など、人生でいろいろな変化を経験する大人こそ考えなくてはいけない問題です。

もちろん、「起こる可能性のある出来事すべてを予測して、どれかひとつでも完璧な対応ができない人は動物を飼うべきではない!!!!」ということではありません 。

しかし、「あと数年で確実に起こることがわかっている状況の変化」「起こる可能性の比較的高い変化」については、ある程度の状況予測・対策をしておかなくてはいけないのではないか、とも感じます。

そのような「変化」のひとつに、「就職活動」「就職」が挙げられます。

「モルモットハウスくにたち」では、大学・大学院卒業を控えて就職活動をしていらっしゃる方、もしくは就職が決まった方には、新しい動物のお迎えには非常に慎重になられることをお勧めしております。

これは、現時点で一人暮らし・就職後も一人暮らしを考えていらっしゃる方には、特に当てはまります。

【卒業試験・就職活動・インターンなど】
testこのブログでも何度も書いているように、モルモットは「様子見」のできない、「さっきまで元気だったのに、ぐったりしてうずくまっている」などという急な体調の変化が決して珍しくない生き物です。

そして、このようなデリケートな生き物のお世話は、何かとスケジュールが思い通りにならない就活中の方・新社会人の方には、非常に大きな金銭的・心理的負担となる可能性があります。

例えば、大事な試験・面接や説明会などが控えているのにモルモットが体調を崩した場合、飼い主さんが取れる行動は、「何とかしばらく持ちこたえてくれることを祈りながら試験・面接・説明会に行く」か、「試験・面接・説明会を諦めて病院に連れていく」の実質二択となってしまいます。

もし運よくご家族、ご友人に通院を頼めたとしても、普段のペットの様子を知らないご友人やご家族が、獣医さんに的確な説明をし、適切な処置をお願いできるでしょうか?

情報不足や誤解のために的外れな処置をされたり、満足な治療ができず、その結果動物が命を落としてしまったら、飼い主さんも依頼された方も、とてもつらい思いをするのではないでしょうか?

worriedそれに、愛モルちゃんを大切に思っていればいるほど、「心配で試験が手につかない」「集中できない」と心が乱れ、実力を発揮できないことも考えられます。

これでは、「動物の大切な健康・命」も、その健康・命を支えるのに欠かせない「飼い主さんの将来・経済的基盤」も、どちらも犠牲にすることになってしまいかねません。

【新社会人】
学生時代に比べ、新社会人時代・特に入社から半年~2年間は、自分の自由になる時間は格段に少なくなります。

業種・企業にとってかなり差はありますが、一般的にいって新社会人は、入社からしばらくは新人研修・トレーニングなどで非常に多忙になります。新入社員オリエンテーションが遠隔地や社員寮、場合によっては海外で行われる場合まであります。

もちろんそんな場所にペットは連れていけませんし、病院やペットホテルに預かってもらうにしても多額のお金が必要になるでしょう。

trainそうでなくても覚えなくてはいけないこともたくさんあるでしょうし、仕事もなかなか定時には終わらないこと・定時に退社することが難しい場合も多くなるでしょう。

多くの場合帰宅時間も不規則になりますし、職種・業種によっては毎日終電で帰宅・場合によっては帰れないなんてこともあるかもしれません。

それに加え、欠席できない「お付き合い」(新入社員歓迎会、取引先へのあいさつなど…)も、この時期には多く発生します。

あるいは、「死に物狂いになってスキルアップしないと、とても仕事についていけない」 と入社後に痛感し、資格を取るために勉強したりネットワーキングに参加したりと、予想よりもずっと忙しくなることもあるかもしれません。

pexels-photo-89872想定もしていなかったような部署・支社への配属が決まり、引っ越しをしなくてはならない場合だってあります。

その場合、動物を連れて入居できる物件が期限内に見つかるかどうかは、完全に運次第となってしまいます。

思い通りに物件が見つからない場合が多いという悲しい現実は、「引っ越し先に連れていけない」という理由での里親募集の多さを見れば明白です。

これはそのまま、「ペットのお世話の時間が極端に短くなる・できなくなる」可能性 に直結します。

piggy01特に、ウサギやモルモットのように「様子見ができない」「預かってくれる場所が少ない」 生き物の場合、お世話や健康観察の時間が取れないこと・すぐに病院に連れていけないことは、そのまま命にかかわる問題 となります。

「忙しくなったら親にお世話を頼むので大丈夫です」と、里親さん募集にお申し込みくださる学生さんもいらっしゃいますが、

「親御さんは、モルモットのお世話は毎日しなくてはいけないことは理解されていますか?」
「万が一病気になった場合、親御さんは、モルモットの介護や通院まで引き受けてくださいますか?」
「親御さんにアレルギーが出た場合はどうしますか?」

等のご質問をすると、「そこまで考えていませんでした」とのご返答が返ってくる場合が多いのが現実です。

いくら飼い主さんにとっては可愛くても、モルモットは齧歯類=ネズミの仲間です。それだけでも嫌がる人は嫌がります。

冷房や暖房が必要、結構大きい声で鳴く、長時間のお留守番ができないなど、ただでさえ飼い主さんの経済状態や行動が制約される、世間的なイメージよりもお世話に手のかかる動物ですので、お世話を負担に感じられる方も多いことでしょう。

もしかわいがってもらえたとしても、お世話をされる方がモルモットについてよく理解していなければ、食べさせてはいけないものを食べさせたり、暑さが苦手なことを理解できずに弱らせたり、命を落とさせたりしてしまう可能性だってあります。

飼い主さんにとっては「可愛いペット」でも、一緒に時間を過ごしていない人にとっては「突然お世話を押し付けられた厄介な生き物」でしかないかもしれません。

飼い主さんご自身が環境の変化を控えている時期にお迎えされるなら、お世話をお願いする可能性のあるご家族としっかり話し合ってからにされることをお勧めします。

【おすすめ】
startup-photos動物との暮らしは、就職後、生活が少し落ち着いてからでも十分に楽しむことができます。

焦ってお迎えし、時間の制約で思うようにお世話ができなくなり、結果として動物に辛い思いをさせ、自分も辛い思いをするよりも、就活・就職直後は「動物との楽しい生活のための基盤を作る」ための準備期間と捉え、例えばモルモットの飼育本を読んだり、病院を探したりという時間に使えれば、有意義に過ごせるのではないでしょうか。

どうしても動物と触れ合いたい! ということであれば、地域の愛護センターや保護施設でのボランティアという方法もあります。

動物と暮らすのは、「かわいいという気持ちがあれば大丈夫!」という簡単なものではありません。最初の「かわいい!」の興奮が収まってからお別れの日までずっとお世話をする必要がありますし、お世話には(想像より多いかもしれない)手間も時間もお金も必要です。

動物は飼い主を選べません。「かわいい」「飼いたい」「癒されたい」の気持ちだけでお迎えし、「やっぱり無理」となってしまう前に、本当にその動物の一生を通じてお世話ができるのか、具体的に計画を立ててみることをお勧めいたします。

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