「飼わない」という決断も、愛

pexels-photo-14303モルモットに限らず、動物の里親募集ボランティアの大事な任務のひとつに、「動物を飼うということには、大きな責任が伴うことを理解してもらうこと」「その動物が命を全うするまで飼えるかどうか、飼い主さん候補の方にしっかり判断してもらうこと」があります。

その背景には、「かわいいから」「一目惚れ」と、ろくな準備もないままペットショップ等で動物を購入・入手することができてしまうという現状があります。

現実問題として、モルモットに健康に暮らしてもらおうと思えば、時間もお金も手間もかかります。

一度体調を崩すとあっという間に悪化するため、様子見ができません。病気になればなったで、診察してもらえる獣医さん(エキゾチックペット診察可能動物病院)も、圧倒的に少ないのが現状です。

数日間のお留守番はできず、預かってもらえるペットホテルも少ないので、誰かに預かってもらえるか、家に来てお世話してもらえない限り、旅行にもなかなか行けなくなります。

また、飼育情報が犬猫に比較すると圧倒的に少ないため、「病気にならずに過ごしてもらえる室温」「食べさせてもよい野菜」「ペレットの量」「必要な運動量」などについては、飼い主側がしっかりと勉強する必要もあります。

worriedもし「軽い気持ち」で迎えられたとしても、人間がその後猛勉強して知識不足をカバーしたり、他の部分で節約するなど努力したりして、動物たちが命を全うするまでお世話できるならば、それは結果として「よい出会い」だったといえるかもしれません。

しかし、中には、「こんなはずではなった」と飼育放棄されたり、健康に生きるために必要とされる環境を整えてもらえないまま、悲しい一生を終える動物たちも少なからずいるのが現状です。

時には「面倒を見切れない」「飽きた」などの理由で飼育放棄・殺処分・屋外への遺棄 (小動物にとってはほとんどの場合、他の動物に捕食されたり餓死したりする、あまりにも辛い最期を意味します) などの悲惨な末路を迎えることになります。

そして、私たちボランティアが保護しているモルモットたちにも、そのような人間の「見込み違い」「自己都合」が理由で「ずっとのおうち」を失ってしまった子が数多くいます。

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一緒に暮らしているとわかりますが、モルモットは世間で思われているよりも、おそらくはるかに頭の良い生き物です。

飼い主さんの声や匂いを覚えますし、慣れてくると自分から膝に乗ってきたり、「撫でてよ!」のポーズをしたりと、はっきりと愛情表現をしたり、甘えて寄ってくる個体もいます。

(飼い主さんを覚えて&愛情を抱いてはいても、ツンデレ振りを発揮してなかなか甘えてくれない子も中にはいますが…それはそれでとても愛らしいのですが)。

何らかの事情でおうちを離れることになってしまったモルモットの中には、すんなり新環境に順応する子がいる一方で、突然以前の飼い主さんと離れ離れになったことを悲しむ様子を見せる子もいます。

モルモットはただでさえ臆病な草食動物で、しかも環境の変化にとても敏感です。住む場所が変われば、新環境になじむまでには多かれ少なかれ、時間を必要とします。既に体調を崩していたりすれば、環境の変化は命取りにもなりかねないほどです。

pexels-photo-299863もちろん、悲しむのは動物だけではありません。

人間側も、例えば予測もつかないような事態 (飼い主さん・ご家族の突然死/難病発症、事故や震災を原因とした生活環境の激変など) のため、泣く泣く可愛がってきた動物家族たちを手放される方もいらっしゃいます。

また、「お迎えしたのだから、人間の責任として絶対に手放したくない」と飼い主さん側が無理をされ、例えばご本人・同居されるご家族の健康や生活が犠牲となったり、経済的に困窮されてしまったりというケースもあります。

人間側がお迎え前に知っておけば防げたはずの「辛いお別れ」は防ぎたい。
モルモットたちの里親さんになりたいと思ってくださるほど動物愛の強い方に、「あのときもう少し考えていれば」「こんなはずではなった」という思いをしていただきたくない。
一度は一緒に暮らそう、最後まで可愛がろうと思った動物と断腸の思いで別れたり、経済的・精神的・時間的にお世話が不可能になり、愛する動物のいのちを縮めてしまうような結果は防ぎたい。

一時的に「かわいそう!」との思いに駆られてお迎えし、後々になって後悔してほしくない。
5年から7年、時には10年近くになるモルモットの命が続く限り、現実的にお世話が「できる」お世話を「してもいい」と思える方にだけ、モルモットたちを迎えていただきたい。

それが、我々保護ボランティアの願いです。

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我々の目的は、応募してくださるすべての方に、保護モルモットを迎えていただくことではありません。

モルモットとの生活が難しい方、モルモットとライフスタイルを共有できない方に、「やっぱり無理」という結論に達していただくのも、我々の大切な任務のひとつです。

当方のボランティアとお話いただいたり、情報収集をしていただいた結果、

「牧草アレルギーのことなんて、ペットショップでは何も言われませんでした! 聞いておいてよかった」
「トイレ覚えないんですか? ちょっと無理かも」
「そんなに鳴くんですか!? うちには神経質なおじいちゃんがいるから無理だ」
「普通の動物病院で診てもらえないなんて知りませんでした。そこまでお金も手間もかかるなら、やっぱり無理ですね」

のような結論に達していただけるのなら、理論上では「やっぱり無理」と手放され、飼い主さんとの悲しい別れを経験するモルモットが1匹、減ることになります。

一見矛盾しているようですが、「飼えない」「お迎えできない」との結論もまた、不幸な動物を減らすことにつながるという意味では、動物に対する愛情・責任であるともいえます。

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pexels-photo-105472折角応募してきてくださる方をお断りするのは、こちらにとっても非常に心苦しいことです。

お電話相談にあたるボランティアたちの中には、応募者様から「勇気を出して応募したのに」「可哀想な動物を助けたくて応募したのに」とお怒りのお言葉をいただいたり、中には「モルモットごときになんでそこまでしなくちゃいけないの!バカバカしい」という言葉を投げつけられた経験を持つ人間もいます。(「たかが」モルモットという言葉については、また後日ブログで取り上げる予定です)

確かに、応募者様にしても、せっかく勇気を出し、時間を作ってボランティアと話した結果が「無理」では、残念に思われる方も多いことでしょう。

だからこそ、ご応募いただく前には、最低でもご応募の前に」セクションを熟読し、できれば当方のブログ記事にも可能な限りたくさんお目通しいただきたいのです。

ご応募の前に記事をご確認いただき、「ああ、これは無理そうだな」とご自分で結論に達されれば、別の動物との暮らしをお考えになるなり、あるいは「現状ではペットは無理」と判断されるなりして、当方のボランティアと話をする手間を省いていただくことができます。

coffee-cup-desk-pen上に書いたアレルギーのこと、鳴き声のこと、動物病院のことなどは、すべて何らかの形でブログに記載していたり、場合によっては応募要項からのリンクに長めの記事を載せていたりします。

可能であれば最近出版された飼育書などにも目を通していただけると、ご自身で想定していた以外の問題にも気づくことができ、バランスの取れた情報を得ることができるかと思います。

Instagram や Twitterなどで可愛いモルモットたちの姿を眺めるのもよいですが、当方の記事や、最近出された飼育書などを目にしていただくことで、ご自分がモルモットと5年から7年、場合によっては10年近くの長い時間を過ごせるのかどうか、具体的にお考えいただきたいのです。

一時的な「かわいい」「かわいそう」「お迎えしたい」の気持ちでお迎えされても、数年後や数か月後に「やっぱり無理」と手放してしまえば、そのお迎えされた子を今度はご自身の手で「可哀想な子」にしてしまうことになります。

それは、応募者様にとっても、辛いことではないでしょうか?

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pexels-photo-51174「自分がお迎えする」だけが、不幸な動物を幸せにする道ではありません。

5年から7年という決して短くはない期間をとおして、世間では「ただのデカいねずみ」と呼ばれる生き物が健康に過ごせる環境を作ることはできるのかを判断していただき、時には「無理」という結論を下していただくことも、不幸な動物を増やさないためには、とても大切なことです。

我々保護ボランティアたちの目的は、「モルモットの可愛さをアピールすること」でも、「モルモットの飼育者を増やす」ことでもありません。

「不幸なモルモットを増やさないこと」「飼育を希望される方に、モルモットと暮らすには何が必要かをご理解いただいた上でお迎えいただくこと」です。

飼育書を読むのも、ボランティアとお話いただくのも、ブログの記事を読んでいただくのも、モルモットと暮らす時間に比べればはるかに短い時間です。

「かわいそう」「かわいい」のお気持ちに突き動かされてお迎えし、その後の数年を「こんなはずではなった」と後悔しながら過ごされるよりも、しっかりと納得してからお迎えいただく方が、飼い主さん候補の方にも、動物にも、ずっと幸せな結果になると思いませんか?

そのためにも、是非ご応募の前に応募要項を熟読していただけるよう、重ねてお願い申し上げます。

 

 

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