保護モルモットに関するよくある誤解と、その実情 (2)

Holly_e前回の投稿に続き、保護モルモットへの里親さんになる応募をいただく中で、ボランティアがよく耳にする「保護モルモットに関するよくある誤解」について書いていきたいと思います。


その 4: 「前の飼い主さんや保護主さんに懐いて、自分には懐いてくれないのではありませんか?」

実情: 愛情を注ぎ、各モルモットの性格に合った接し方をしてあげれば、強い絆を築くことができます

「動物は、最初に飼った人以外には懐かない・言うことを聞かない」 という思い込みがあるからか、「保護ボランティアに可愛がられているなら、次の飼い主である自分には懐いてくれないのでは?」 とお考えになる方もいらっしゃるようです。

しかし、これもボランティアたちの経験とは異なります。

モルモットたちにとって、人間の飼い主は食べ物を用意してくれ、撫でてくれ、ケージをお掃除してくれ、そして優しく声をかけたり遊んだりしてくれる、まさに世界の中心とでもいうべき存在です。

その「世界の中心」が突然変われば、もちろん戸惑う子もいるでしょう。

我が家の先住モルモットにも、一般の家庭で暮らしていた子の中には、最初はホームシックのような状態になってしまった子もいました。

koyuki_eまた、元飼い主さんの接し方が悪かったせいで「見捨てられた」と感じ、傷ついたり悲しい思いをしていたりする子もいるかもしれません。

でも、そのような状態は、我々の知る限り、あまり長続きすることはありません。

時間をかけて、「ここがあなたの家だよ、ずっとここで暮らしていいんだよ」「あなたが大切だよ」「あなたのお世話は私がしっかりするよ、大丈夫だよ」と、行動と言葉で伝え続けてあげれば、やがてその子なりのやり方で愛情を示してくれるモルモットがほとんどです。

そして保護モルモットの場合、不思議なもので、保護宅から新ファミリー様のお宅に到着すると「ここが自分のおうちだ!」と本能的に感じる個体がかなりいるようなのです。

我々の「卒業生」だけ見ても…。

dalia_top保護宅では寝袋からほとんど出てこなかったのに、「ずっとのおうち」に移動して数週間でおねだり鳴きを始めたダリアちゃん。
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保護宅では大変なビビリちゃんだったのに、「ずっとのおうち」に移動してからはお部屋散歩を自由に楽しんでくれるようになった雪ちゃん。

皆、保護宅である我が家で半年から一年近く過ごしましたが、それは今の飼い主さんへの愛情、生活の楽しさには、ほとんど関係がないように思えてなりません。

元来が臆病な性格のモルモットたち。犬のように尾を振ったり、飼い主さんに飛びついたり、猫のように自分から膝に乗ってきたり、布団に入ってきてくれたりと、人間に「わかりやすい」方法で愛情を表現してくれることはないかもしれません。

でも、愛情を込めて接し、注意深い飼い主さんであれば絶対に気づくような方法で、共に暮らす飼い主さんへの愛情や感謝を示してくれるようになります。前に何人飼い主さんがいようが関係ありません。

世界にたった一人の「飼い主さん」と、世界にたった一匹の「その子」の絆は、日々の生活の中で築いていくものだからです。

誤解その 5: 「保護モルモットは、ペットショップの子たちよりも年齢が高い。お迎えしてもすぐに亡くなってしまうのでは? すぐに多額のお金がかかるようになるのでは?」
実情: 年齢が高い=お別れがすぐ、とは、必ずしも言えません

garcon「少しでも長く過ごしたいから」と生後数週間でお迎えされても、ペットショップにいるときから病気を抱えていたり、環境の変化という多大なストレスに耐え切れずに、お迎え後すぐに亡くなる子もいます。

あるいは、正しい食生活・完璧な室温コントロール・正しい住環境・定期的な獣医師への通院等、できることはすべて行っても、一定年齢以上にならないとわからない先天性の病気などで、ある日突然天国に旅立ってしまう子もいます。

一方で、あまり良好とは言い難い環境で過ごしてから3、4歳でお迎えされても、生まれ持った体力、そして飼い主さんの努力(良好な環境づくり、正しい食事)で、それから4・5年間病気ひとつせずに天寿を全うする子もいます。

「お迎えする以上、1日でも長く過ごしたい」とおっしゃる方も少なくありませんが、「お迎えの際に幼齢だったこと」が、「長く一緒に過ごせること」を必ずしも意味しないのが、モルモットという繊細な草食動物の怖いところでもあります。

goemon_02それに、「過ごせる時間の短さ」は、必ずしも「不幸せな生活」を意味するわけではありません。

前述したような先天性の病気がお迎え後にわかったり、高齢のモルちゃんを里親としてお迎えされたりして、たった数年の共同生活になってしまった方の中にも、毎日のお世話や投薬、介護などを通じ、驚くほど濃密な絆を愛モルちゃんと築かれて、「できることはすべてやりました」、「後悔はありません」と、きっぱりと言い切られる方もいらっしゃいます。

「この子としか築けない思い出をたくさんもらいました」「もっと長く一緒にいたかったけど、あの子に会えたこと、家族でいられたことは、何よりの宝物です」と。

モルモットたちは、人に比べれば、あまりに短い寿命を背負ってこの世にやってきます。

一緒に過ごせる時間は、1年かもしれないし、10年かもしれません。突然のお別れの可能性は、モルモットに限らず、すべての動物が持っているといっても過言ではありません。

もともとは捕食される立場の、とても気の弱い動物であるモルモット。

lupin_04人のように大きな動物、その気になれば自分を傷つける力を持っている「ヒト」という生物と、仲良く共に暮らすことができること自体、奇跡に近いことなのかもしれません。

その奇跡のような時間がどれほどの長さになろうとも、できる限りの良好な環境を整えてあげて、1日1日をかけがえのない、大切なものとして過ごすことができれば…

お迎えされたモルモットが「このおうちに来れて本当に良かった」と感じてくれることができれば、過ごした時間の長さにかかわりなく、何よりのかけがえのない贈り物、「人に心から愛され、守られる生活」を、大切な動物家族にプレゼントすることができた、といえるのではないでしょうか。

そして、その子と過ごした日々は、飼い主さんにとってもかけがえのない宝物となってくれるはずです。

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