動物病院と「小さな思いやり」

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doctor-medical-medicine-health-42273長らくブログの更新をお休みしてしまいました。

新たな保護案件の発生 (現在、現場の動物愛護推進員さんと連携してお話を進めています) に加え、間の悪いことに先住モルモットが毛包腫で緊急手術となり、病後の看護と治療に取り組んでおりました。

手術は成功し、まだ100%完調とはいきませんが、一歩一歩確実に良くなってきています。

「今後保護される子がいれば里親になりたい」とのお申し込みや、「我が家にいる子に同性のお友達を迎えたい」 などの内容でのご相談などもお受けしておりますので、ご希望の場合は画面左の「応募の前に」ページをよくお読みになり、ページ内のリンクから是非ご連絡ください。

さて。このブログでは、当方の先住モルモットについて書くことは、最初期を除けばほとんどなかったのですが(そして今後も恐らくほとんど書くことはないかと思いますが)、今回に限り少しだけ、先住の緊急手術を通じて、動物病院の重要さについて感じたことを書かせていただきたいと思います。

里親としてお迎えした当初から体が弱く、エキゾチックアニマル専門病院で治療していただいている先住モルモットの挙動がおかしいことに気が付いたのは、マネージャーが海外出張に出向く2日前という、なんともすさまじいタイミングでした。


慢性疾患のため普段から投薬・自宅点滴をしているモルモットなので、マネージャーの留守中は代表一人で投薬をしてもらい、点滴は近所のかかりつけで実施してもらうよう手はずを整えていたのですが。

出勤前にケージからすさまじい足音がし、びっくりして覗き込み、パニックを起こしてケージの中をぐるぐると落ち着きなく走り回る先住を見たときには、さすがに全身から冷たい汗が吹き出しました。この時点でよりにもよって、羽田から出張先へ飛び立つ2日前。

観光旅行なら迷いなくキャンセルにしますが (そもそも病気のモルモットがいる時点で行きませんが…)、今回は会社にとっても非常に重要な海外出張です。

ならば日本にいるうちに早く対策をと、大急ぎで代表と通院の手はずを整え、タクシーに飛び乗って専門院に駆けつけました。そして下った診断は 「毛包腫の疑い濃厚。要手術」。

主治医の先生方、そして代表ともしっかり話し合い、マネージャーの帰国1日後に手術を受けさせることに決定しました。

気が気でないまま過ごし、それでも仕事は忙しく、あっという間に迎えた手術の日。朝、病院に先住をお預けして午前中に手術となりました。

今回は手術の部位が後脚だったためか比較的手術時間も短くて済み、お昼過ぎには看護師さんから「さっき麻酔から醒めました。起きてすぐに牧草食べてましたよ!」 とのうれしいお電話をいただくことができました。

指定された時間にお迎えに行き、術後の説明と術後ケアについて教えていただき、状態も良いのでその日のうちに連れて帰るコースとなりました (同じ手術でも、モルちゃんの状態や飼い主さんの希望など、場合によっては一泊から数日入院することもあるとのこと)。その後もフォローアップ健康チェックに数回通い、順調に回復してきています。

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こうして振り返ってみると、自分たちのことながら、つくづく凄まじいスケジュール、そして強行軍だったと、どこか他人事のような言い方をすればそう思います。

飼い主たちは確かに非常に大変でしたが、一番大変だったのは本モルだったことでしょうし、もっと急を要する手術等であれば「一週間入院させ続ける」などの厳しい対策が必要となったことでしょうから、ある意味運がよかったのかもしれません。

しかし、振り返ってみると、そこまでの悲壮感を感じた覚えはないのです。

体力的にも精神的にも、そして物質的にももちろん大変でしたし、麻酔に弱いモルモットという種類柄、いくら短時間、そしてずっと診ていただいており、彼女の命を何度も救ってくださった獣医さんによる執刀とはいえ、麻酔をかけての処置に不安がなかったといえば嘘になります。

それでも、「不安で涙が止まらない」「こうなったらどうしよう、ああなったらどうしよう」という気持ちのブレは、不思議なほどありませんでした。

なぜ、あそこまで平静な気持ちでいられたのか?

それは、先住モルモットの命を預かってくださる医療スタッフの皆様が、彼女の命を救うために最高のケアを提供してくださっていることを理解できていたから。そして、先生としっかり話し合い、飼い主としての自分たちが納得した上で、治療の決断を下すことができたからではないか、と考えています。

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当方の先住モルモットは慢性疾患で一年以上も同じ病院に通院しているため、主治医の先生以外にも、クリニックの医療スタッフの方全員にお世話をしていただいています。

我儘でオーバーアクションが多く、しかも体が弱い彼女は決して扱いやすい個体ではなく、飼い主として冷や汗をかくことも多いのですが、主治医の先生をはじめとする先生方も看護師さんも、1kgにも満たない小さな小さな彼女のため、いつも全力を尽くしてケアに当たってくださいます。

通院後、病状が回復したことを報告するためにお電話をすると「ああ、良かったです! 本当に良かった」と喜んでくださったり。

検査中に暴れるモルモットに 「だいじょうぶ、あとちょっと」 と話しかけながら、鼻の上をくすぐってくださったり。

検査の結果を「いい感じですよ」と、心から嬉しそうな口調で報告してくださったり。

検査が終わってキャリーに戻していただくときに、頭をポンポンと軽く撫でて、毛乱れを直してくださったり。

食欲がない中、検査のためにしばらくお預けしたときに、食べられそうな野菜と牧草をあれこれ選んで食べさせてくださったり。

思い出せばきりがないほど、小さな動物への「小さな思いやり」が、とても強く感じられます。

そんな小さな一こま一こまの「思いやりの積み重ね」を日頃から感じることができてきたからこそ、「ここになら安心して預けられる、どんな結果になってもきっと納得できる」と考えることができたのだと思います。

飼い主である自分以外にも、「我が家のモルモット」のためにこんなに一生懸命になってくださる方に支えらえているという安心感があるからこそ、飼い主である我々も落ち着いていられたのかもしれません。

そして、手術という大イベントはもとより、日頃の治療でも、この小さな生き物の健康をどうしたら改善することができるのか、どうしたら豊かな生活をさせてあげることができるのか、病気があるならあるなりに QoL (生活の質) をどうしたらよい方向に持っていくことができるのか、を第一に考えてくださる獣医療スタッフの方々に触発され、また励まされて、飼い主も勉強を積み重ね、最良の結果を出せるように努力できるのかもしれません。

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里親募集ボランティアをしていると、「モルモット診察可能」を標榜しながらごく基本的な病気を誤診されたり、「モルモットなんて」という態度で非常にぞんざいに扱われたことがあったりなどの理由で、「もう二度と動物病院には行かない」とおっしゃる飼い主さんにもお会いします。

医療に関する考え方が人それぞれであるように、飼い主さんのモルモットの医療に関する考え方も人それぞれです。最終的な決定権は飼い主さんにある以上、どこまでの医療を受けさせるかには飼い主さんの考え方によって差が出るのはある意味当然のことともいえます。

また、動物病院と飼い主さんの相性、先生と動物の相性というものも少なからず存在します。「大きな病院だから」「ネットで評判がいいから」「有名だから」「モル飼いさんが褒めていたから」、「我が家のモルモットにとって最良の獣医さんである」というわけではないのが、動物病院選びの難しいところであるともいえます。

同じ先生の同じ説明を聞いても、「飼い方を批判されているようで嫌だった」「怒られた」と感じる人もいれば、「うちの子のためにこんなに必死になってくれた」「心を入れ替えて頑張らないといけない」と感じる人もいるでしょう。

しかし、飼い主さんにも必死で病気を隠してしまうモルモットだからこそ、是非頑張ってよい病院を見つけてあげてほしいと思うのです。

元気に見えたとしても、愛モルちゃんは、飼い主さんが理解できていないだけで、検査すればわかる・治療ができる、もしくはちょっとした生活の工夫でかなり楽になる病気で苦しんでいるかもしれません。

モルモットに詳しい獣医さんからのちょっとした助言で、飼い主さんの心もモルちゃんの健康も改善するかもしれません。

看護に疲れたとき、愛モルちゃんに対する小さな思いやりを獣医さんや看護師さんから示してもらって、自分ももっと頑張ろう、愛モルちゃんの頑張りに応えようと思えるかもしれません。

最終的には、「うちの子にとって最良の結果は何か」「可能な限り幸せな生活をさせてあげるためにはどうすればよいか」を各飼い主さんがしっかりと考え、自分でモルモットについての勉強もし、その子の命に全力で向き合ってあげること。

そして、同じように動物たちと向き合ってくれる動物病院を探すことが、誰にとっても納得できる結果につながるのではないか、と、今回の手術を経験してみて改めて感じました。

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最後になりましたが、日本各地でモルモット、ウサギをはじめ、小さな小さな、ともすれば軽視されがちな命のために尽力してくださっているエキゾチックアニマル医療従事者の皆様。

体のサイズや市場の値段など、人間が勝手に決めた基準で命の重要さを測ることなく、生きようとする小さな命とその飼い主たちに真剣に向き合ってくださり、本当にありがとうございます。

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